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 ふるさとを知る、演じる、考える演劇公演2018『青森市ものがたり』のプロローグ、「僕は八甲田丸を残している理由がよくわかりません」という中学生のストレートな台詞に、私はハッとさせられた。青函連絡船の起点・終点である青森市が海の街として栄えてきた事実を、私自身がメソポタミア文明クラスの歴史の中にしまい込んでいたのではないか。橋本小学校の修学旅行で函館に渡ったとき、まるで、アメリカに来たかのような感動があったのは、たかだか半世紀前だというのに。

 狂言回しとして登場した青函連絡船第一号の比羅夫丸、第二号の田村丸を演じる高校生は、頭に連絡船の模型をかぶっている。この擬人化がこの作品にとてつもない求心力を与えていた。青函連絡船に興味があるなしに関係なく、年齢、性別を問わず、舞台に引き込まれていく。観客ばかりか、演じる中高生自身も、異文化であったはずの青函連絡船ワールドにみるみる感情移入していく。まさに演劇マジック!

 この芝居の構成・演出を手がけた畑澤聖悟さんと共に、演劇の力で青函連絡船の記憶を次世代につなぐ活動を始める。「北前船が日本遺産なら、青函連絡船は世界遺産だ」の気持ちをエンジンに、さあ、出航だ!

一般社団法人進め青函連絡船 キャプテン(代表理事) 山口章

    1977年、昭和で言えば52年。青函連絡船に初めて乗りました。中学三年生でした。自転車の入った重い輪行袋を担いで、急行津軽から連絡船の乗り場まで、あの長い通路を歩きました。

 最後に乗ったのが、1986年大学四年の夏ですから、文字通り、青函連絡船は私の青春の思い出です。このときは大雪山系を縦走するために重いザックを担いでいました。

 青森の年配の方たちと青函連絡船の話をすると、誰もが笑顔になるのはなぜでしょう。青函連絡船について語り出すと誰もが話が止まらなくなるのはなぜでしょう。

  一人一人の思い出が、船と共によみがえることを期待しています。

 

青年団主宰・劇作家・演出家 平田オリザ

 

 

 青函連絡船は1908年(明治41年)から80年間、青森県の青森駅と北海道の函館駅を結んでいた国鉄(のちJR北海道)の鉄道連絡船です。1988年(昭和63年)3月の津軽海峡線(青函トンネル)開通に伴い、廃止されました。のべ80隻を超える連絡船のうち、1954年(昭和29年)の洞爺丸事故の教訓から開発された津軽丸II型の姉妹船7隻は当時の日本の造船技術を結集して建造された最新鋭船であり、その優美な外観から「海峡の女王」と呼ばれました。


 2012年から3年間、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の車輌甲板で中学生から80代までのべ180名の青函連絡船を愛するみなさんと共に「世代交流あおもり市民劇」を上演しました。それがご縁で、青函連絡船にまつわる物語をこれまで数 多く執筆、演出させてただいています。青函連絡船は青森と函館両市の絆であるばかりでなく、交通都市として発展してきた青森市の歴史そのものです。現在に残る青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸は語り継がれるべき青森市の記憶そのものです。かけがえのない財産であることは言うまでもありません。


 2018年の夏、一般財団法人青森市文化スポーツ振興公社主催の中高生がふるさとを知る、演じる、考える演劇公演『青森市物語 海とわたしと八甲田丸』を構成・演出した際、参加者の中・高校生を対象にアンケートを実施しました。大半の中高生が青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸を訪れたことがない事実が判明し、愕然としました。おそらく世界で一番多く青函連絡船を芝居にしている私として は、このまま手を拱いているわけにはいきません。何かをしなければ。そうだ、演劇の力でなら、船はまた津軽海峡に漕ぎ出せるのではないか。皆様と一緒に青函連絡船のためにできることを、力の限り続けていきたい。そう考えております。

 

畑澤聖悟(劇作家・演出家・渡辺源四郎商店店主)

<呼びかけ人>(五十音順)

葵卓(世代交流あおもり市民劇プロデューサー)

今泉清保(青森テレビ報道制作部)

尾形明範(演奏者・青函連絡船十和田丸最終便一日船長)

小畑智恵(ライター、青森応援Webサイト・FB「あおもりっていいなぁ」編集部)

葛西鎌司(元・青函連絡船八甲田丸機関長)

北山榮雄(元・青函連絡船大雪丸船長) 

櫛引素夫(青森大学社会学部教授、地域ジャーナリスト) 

工藤千夏(劇作家・演出家、なべげんわーく合同会社代表社員)

小枝淳一(青森慈恵会病院副院長、ホスピス医)

斎藤誠子(一般社団法人青森市国際交流協会理事) 

佐々木淳一(青森大学社会学部教授)

佐藤誠(俳優、渡辺源四郎商店プロデューサー)

佐藤宏之(渡辺源四郎商店、世代交流あおもり市民劇出演者)

高樋忍(建築士、有限会社クレイドル代表取締役)

田川伊吹(廣田神社宮司) 

田中耕一(俳優、世代交流あおもり市民劇出演者)

谷田恵一(シネマディクト館主) 

田村隆文(特定非営利活動法人あおもりみなとクラブ事業部長) 

中村雅子(フリーアナウンサー・朗読家)

奈良岡真弓(渡辺源四郎商店プロデューサー)

​新田稔(元・青函連絡船大雪丸元事務長)

橋爪國臣(NHK制作局第2制作センタードラマ番組部)

畑澤聖悟(劇作家・演出家、渡辺源四郎商店店主)

林成彦(高校演劇サミットプロデューサー、NPO法人パブリック理事)

平田オリザ(青年団主宰、劇作家、演出家)

宮崎充治(弘前大学教育学部教授)

山口章(青森明の星短期大学地域連携センター長、教授)

            ※(一社)進め!青函連絡船代表理事

山下昇平(造形作家、舞台美術家)

若山多香子(フリーアナウンサー、青函ワールドジオラマ残し隊代表)

 

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